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2014年6月1日発行メールマガジンより

更新日:2017/03/08

今回のエッセイは、フリーライターの広末智子さんからのバトンです♪

筆者

高知大学 コラボレーション・サポート・パーク室長 今城逸雄さん

「子どもを育て、育てられる」

 私は結構イクメンです。でも白状すると、私は子どもがあまり好きではありませんでした。バタバタ走り回り騒いでいる子どもがいると、いつもイライラしていました。そんな私を変えたのは、出産に立ち会ったからだと思います。

 40歳で初めての子どもを授かったのですが、初めは出産に立ち会う気持ちはさらさらありませんでした。しかし当時、特別職知事秘書として勤めていた県庁で、留学経験のある中西穂高副知事から、「アメリカでは立ち会い出産が常識だよ」と勧められ、また橋本大二郎知事からは、「少子化対策担当だな」と持ち上げられ、何となく立ち会ってみようかなという気になりました。

 出産に立ち会うお父さんのための講習会に参加しました。陣痛から出産までの母体の変化やオムツのかえ方を教わり、重りを付けての妊婦体験もしました。定期健診には毎回付いて行き、エコーで子どもの成長を見たり、出産に向けて赤ちゃん用品を揃えているうちに、少しずつ父親になる気分が高まってきました。

 出産は早朝の妻の「破水した!」の叫び声で始まりました。そんな中でも妻は冷静に病院に電話をして、入院のための準備をしています。私は何をしたら良いのか分からないので、とりあえず記録になるかなと電話をしている妻をビデオで撮っていました。

 陣痛の感覚が徐々に短くなり痛みが増してくると、ますます何をしてよいやら分かりません。妻が出産時に聞きたいと言うので買ってきたCDをかけるものの、妻から「うるさいから消して」と言われ、「お茶!」と叫ぶ妻の口にストローを差したペットボトルを運ぶくらいのことしかできません。いよいよ産まれるという段階でも、助産師さんたちが手早く準備をするのを、ただ眺めていました。そしてビデオカメラを構えた途端、看護婦さんに諌められる始末です。男は何て無力なのかと痛感させられました。一方、産んだ瞬間の妻の安らかな表情と、子どもの元気な泣き声に、家族を守らねばと強く心が震えました。

 その後に生まれた二人の子どもも立ち会うことができました。産みの苦しみは男性には実感できませんし、お乳も出ません。やっぱり母親にはかなわないなと思うところもありますが、オムツをかえ、夜中に泣く子をあやしたり、読み聞かせをしたり、風呂に入れ寝かせたりしていると、一緒に育てているという充実感がわいてきます。

 子どもを持つ前と後で大きく違うことが三つあります。ひとつは、自分の子どもだけでなく、他人の子どもも可愛く見えてきたことです。以前の私だったら、子どもが泣いているとうるさいなあと思っていましたが、今は何かあったのかな、泣き止まないとお母さんは大変だなと思うようになりました。子どもの事件や事故、虐待のニュースは胸が締めつけられます。二つ目は自分の命を超えた未来を感じることです。今よりも少しでも良い社会の中で、人生を歩んで欲しいと願います。もう一つは、子どもに恥ずかしくない生き方をしなければならないと、自分の行いを考えることです。京セラ創業者の稲森和夫さんは、生まれてきたときより、少しでもきれいな魂になること、それが人間が何のために生きるかの解答であると、著書「生き方」に書かれています。日々反省です。

 子どもを授かり、子どもと共に生きることで、自分も成長し、教えられることが本当に多いです。これからもできる限り、子どもと関わり、人生を充実したものにしていきたいと思っています。




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