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2014年9月1日発行メールマガジンより

更新日:2014/09/01

今回のエッセイは、高知大学特任助教の小島優子さんからのバトンです♪

筆者

高知大学・教員 森田美佐さん

「少子化対策から思うこと」

 日本では現在、「少子化」が大きな社会問題となっています。2013年の合計特殊出生率は1.43(2013年)でした。人口減少は、日本の将来の労働力不足と社会保障の安定性に大きな影響を及ぼします。そのため政府は、1990年代以降、育児休業制度(含:給付金の増額)、子育て支援センターの設置、男性の働き方の改善など、様々な少子化問題に取り組み始めました。子育て中の従業員に対する経済的支援や勤務時間の短縮などを行う企業も現れました。政府や企業の制度、モノ、おカネなどを通じた支援は、確かに子育て家庭のニーズに合っており、意義があると思います。

 しかし少子化の問題は、社会的・文化的な側面からも考える必要があります。例えば日本は国際的に見ても、「男性は仕事、女性は家事・育児」という考え方が非常に強い状況です。その結果、女性は、満足する仕事に就いたとしても、出産や育児で仕事をやめざるをえないことがあります。また、仕事を続けるとしても、共働きしながらの子育てがしづらく、子どもをもつことをあきらめる人もいます。

 そこで、子どもをもちたいと思う人がもてる社会のために、特に次の3つが重要です。1つ目は、若者の正規雇用を増やして、かれらが安心して結婚や子育てを展望できる社会をつくることです。いずれ結婚したいと答える若者は全体の9割を超えています。

 2つ目は、仕事の進め方を見直すことです。職場全体で、その会議は本当に意義があるのか、その残業は本当に必要なのかを議論することです。仕事の手順を見直し、定時で帰りやすい仕組みを作る必要があります。労働時間が長い人や休日出勤をした人だけが評価されるような仕組みは再考すべきです。それによって男性が子育てを担える条件が整います。

 3つ目は、女性が「活躍」できる職場をつくることです。ここでいう活躍とは、単に、女性が働けばいいとか、管理職の女性を増やすとかいうことではありません。それは、女性が経済・社会の中枢にもっと入り、私生活も大切にできる労働環境をつくることです。実は女性が社会進出を果たしている国ほど、出生率が高いというデータがあります。なぜでしょうか?女性が働きやすい職場は男性にとっても働きやすいですから、お互いが仕事と私生活を両立できれば、子育てしやすい家庭・企業・社会がつくられ、少子化から脱却できるというわけです。

 ただし、私たちにとっての少子化の意味も考えたいところです。出産は個人・カップルの問題でもあります。よく考えた結果、様々な事情から、子どもをもたない選択をした人もいます。残念なことですが、結婚や子どもの有無で女性の人生の勝ち・負けを「査定」する人さえいます。社会がこのような考え方のおかしさにみんなで気づき、社会が子どもをもちたい人の生き方も、もたない人の生き方も保障してはじめて、日本は少子化社会から脱却できると思います。




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