ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
トップページ > 2014年10月1日発行メールマガジンより

2014年10月1日発行メールマガジンより

更新日:2014/10/01

今回のエッセイは、高知大学・教員の森田美佐さんさんからのバトンです♪

筆者

千斗枝グローバル教育研究所代表 山中千枝子さん

「野老山おとなの学校」

 車を正門から運動場へ乗り入れると、「おはよう」と大きな声が迎えてくれる。「洋子ちゃんと恵美ちゃんが待ちゆで」と、その声に押されるように玄関へ。プーンと良い匂いがする。「お待たせ」と調理場に入ると、「もうすぐできるで」「ここはえいき、おばちゃんらあと授業してきい」「朝ごはん食べてないろ、そうめんを作ってきてやったき、はよう食べ」。ポンポンポンと支持が飛ぶ。「ありがとう」そう言いながら、そうめんを食べる。「今日は、ペタンクと教室(旧職員室)で折り紙で傘を作りゆ」「今日の先生は校長じゃないで、和ちゃんで」「オッケー」そう返して教室に向かう。「やっと来れたかえ」その声に迎えられて差し出された飴を口に入れ授業に加わる。
 
 高知市にある私の家から47キロ。越知町にある11年前に休校になった野老山小学校は、作年春に閉校になり野老山公民館としてスタートした。私が、その野老山小学校に校長として赴任したのは13年前。赴任してすぐ開校した地域の人たちが通ってくる「おとなの学校」。当初は子どもたちと一緒に学校を楽しんでいたが共同生活は休校に伴い2年で終わった。その後も「おとなの学校」は継続している。住民全員が学級生だが、学級開校日が月曜日の午後なので、常時通ってくるのは高齢者だ。5、6人から20数人。そのほとんどが女性である。定例の授業以外に、ひな祭りやお茶祭りペタンク大会、運動会、忘年会、敬老会、文化祭、幼稚園児と合同の芋植え芋掘りカレーパーティを精力的に活動している。最大の行事は、11月23日に行う「伝承行事」。越知小学校の親子を招いて終日昔遊びや食事を楽しむ。町の地域教育のメンバーや教育委員会がサポートしてくれる。多い年で150人、少ない年で70人ほど集まる。活動のほとんどが手作りである。そのお世話をしている2人の女性が、学級長の洋子さんと副学級長の恵美さんである。1年間の大半を学校で過ごしている実に精力的で魅力的な女性である。月曜日の定例授業はもちろん、地域の行事やおとなの学校の行事を取りきる。

 「男女共同参画といわれて10数年経つが現実はどうなっているのだろう」そんな懸念はいらない。ここでは元気な高齢者、女性が主役と脇役で活躍している。彼女たちをはずして学校の存続はない。「学校へ来るとみんながおる」「ひとりでご飯を食べるより、みんなと話しながら食べれるきうれしい」「ひっとり笑顔になる」・・・。そして「一生懸命、みんなのことを考えてくれる洋子ちゃんと恵美ちゃんに感謝している」と、彼女たちが言う。

 野老山、ここが好き。「おとなの学校」が好き。通ってきてくれるみんなが好き。一生懸命お世話をしてくれる2人が好き。きらきら輝いているみんなが好き。そう、地域のど真ん中で、輝いている女性がいる。そのことがうれしい。




g-plusone