ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
トップページ > 【リレーエッセイ】「社会が優しく抱きしめる子育て」/2016年7月1日発行

【リレーエッセイ】「社会が優しく抱きしめる子育て」/2016年7月1日発行

更新日:2016/07/01

筆者

子育て支援ネットワーク ろばみみ 代表 杉村彩さん

「社会が優しく抱きしめる子育て」

 今は結婚するしないの選択も、子供を産む産まないの選択も自由。どんな生き方を選んでも本人が幸せであればそれでいい。ただ私自身は女性としてのたおやかさ、華やかさを楽しみたいし、子供が産み育てられるのならその役割を果たしたいと考えて来た。
 
 男女平等ではあるけれど、男女それぞれの体の違いや脳の構造の違いがあるように、活かせる役割も違ってくる。子育てをして行く上でも父親と母親の役割はやはり違う。お互いの違いを認め、尊重し助け合って生きて行けば問題はないのだ。しかし家族という単位であれば大丈夫なことも、社会という単位になるとそうは行かないこともある。
 
 小さい頃からの母親との繋がりが子どもの育成に非常に大切なことであると考え、7年前に仲間たちと就園前(0歳~3歳)の親子をサポートする団体を立ち上げた。
その子育て支援活動の中で、妊娠・出産から3年ほど(特に生後7ケ月目くらい迄)は子供の心と脳の発育には父親よりも母親の存在が欠かせないと学び、実際自分の子育てにおいてもそう感じて来た。父親である夫にしてほしいことは抱っこやオムツ替えなど子供の世話ではなく、子育て以外の家事をしてくれること、しっかり稼いでくれること、そして疲れる心を優しく癒してくれること。つまり安心して子育てするために、夫の物理的経済的な支えと精神的な支えが何よりも必要だと感じて来た。
 この0歳~3歳というとても大切な期間、子どもを抱きしめる母親を夫が優しく抱きしめ、今度はその家族を取り巻く社会が優しく抱きしめる・・・そんな絵図が安心して子育てを出来る環境なのではないかと私は思う。

 ところが子供が母親を必要とする期間は変わらないのに、今は核家族化が更に進んで生活スタイルも随分多様化している。子育てをして行く上で経済的な負担はとても大きく、また受け入れる側の理解不足もあり、子供を預けて働き出す時期がどんどん早まっているのだ。子ども達の危機が叫ばれ、乳幼児期の親子の触れ合いがいかに成長過程に影響を及ぼすかに注目が集まっているというのに、子育て支援という名のもとに安易に母親が仕事しやすい環境を整えてしまうことには、違和感を感じずにはいられない。子供が健全に育つためには、そのことが大きな弊害となる可能性があるからだ。女性が働くためには必要なことであるのは確かだが、誰のための子育て支援なのかとふと考えてしまう。
 
しかしながら今の時代母親も働かなくてはならない状況は否めず、皆苦渋の決断で働きに出ている。本来乳幼児期の子育て支援とは子どもが母親を必要とする期間、社会的にも経済的にも母親が安心して子育てに専念できるためのより深い社会の理解と、国や地方行政の子育てに対するサービスや保障の充実なのだと思う。でもそれが充分だと言えるようになるにはかなりの年月が必要だ。そんな時代を切に願いつつ、ささやかながら子育て中のママたちが笑顔になれるサポートを私なりにこれからも大切にして行きたいと思う。




g-plusone